二世帯住宅と土地探し

一世帯だけが住む住宅の場合は、住宅を資産として考える必要はありませんでした。しかし、二世帯住宅は、長い間住み続けることが前提なので、当然資産としての価値を持つものでなくてはなりません。注文住宅を建てる場合、建物以上に慎重に決めなければならないのが立地です。新築の土地探しは将来の家族の幸せを左右する大切な仕事です。

二世帯住宅の土地を資産と考える場合、選ぶ基準が二つあります。一つは立地です。少子高齢化社会においては、人口減少と共に住宅の余剰感が高まり、高齢者だけが残される郊外の住宅地は住みづらくなることが予想されます。新築の場合は新たに造成された郊外の住宅地を選ぶ選択もありますが、なるべく都市の中心に近い場所に土地を求めた方が将来安心できます。土地は郊外の新たな土地ばかりでなく、都市部においても空き家が建っている土地が大量に市場に流通することが予想されます。そのような土地は、たとえ解体費用がかかったとしても、資産価値として有望な場合があります。土地探しは新たな宅地ばかりでなく、中古物件今で範囲を広げて探すことが求められます。

二世帯住宅の土地を資産と考える場合、選ぶ基準の二つ目は災害対策です。住宅が災害に遭うかどうかは土地により決まります。一般的には高値の土地は災害に遭い難く、安値の土地は災害に遭いやすいと言えますが、都市部では必ずしもそうではありません。首都圏では東京23区内の土地が人気ですが、災害に対して必ずしも安全とは言えません。東京23区内は標高の低い場所があり、全域にわたって地盤が弱い特徴があります。地盤や災害の上から安心できるのが三多摩地区と言われる東京西部です。しかし、三多摩地区は東京23区内と比べて人気があるとは言えません。このようなケースは全国各地に見られ、都市部では少し離れた場所に災害に安全な土地が残っているケースが多くあります。

住宅の価格は依然として庶民には高く、一世帯だけで負担するには荷が重い場合があります。住宅ローンは親子ローン等により世代を跨いで負担することによりそれぞれの負担を減らすことができ、そのためにも、二世帯住宅の土地選びは重要です。近年、土木分野において造成技術が発達し、どんな場所にも宅地が開発されるようになりました。しかし、日本列島では昔から人が住んで良い場所は決まっており、本来人が住めない場所に営利目的で開発されたような宅地には、近寄らないほうが懸命です。